2011年9月23日金曜日

食に対する難しさと奥深さ

極上のサラミと味わいまろやかなブリーチーズ(DEEN&DELUCA)
 仕事で、 DEEN&DELUCAにお邪魔する機会があった。お洒落な輸入食材屋さんである。
カフェでお茶を飲んだり、ランチボックスを食した事はあるが、基本的にお値段高めで、なかなか庶民の手には届かない。

しかし、丁寧に手を掛けて厳選した食材は味が違うとよく判った。都心に住んでいると、こんな贅沢な食材が気軽に手に入るんだなぁとひとしきり関心する。毎日ここの総菜で、、という人は稀だろうが、滅多に都心に出ない身には新鮮な体験だった。

乾燥ペン(リングイネ?)はオーバーボイル気味に
 さて、ひとしきり感化されると、この感動を家族にも少しお裾分けしたくなった。
お店の人にアドバイスをしてもらいながら、連休中のパスタランチ用に、食材を少し奮発して買った。普段買う値段の4〜5倍はするカラフルペンネと、キノコクリームに使うペースト一瓶。
アドバイスしてもらわないと、どう調理して良いか判らない代物だが、季節のキノコをたっぷり使った生クリームソースが良いと教えてもらう。ペンネの色、形が様々に入っていて「これは子どもが喜ぶかな。」とワクワクしながら買ったのだが。。。
最後に簡単に作り方を記しておきたいが、今日のエントリーの主題は「この料理がとてもウケて、美味しかった」という所では無い。(もちろん美味しかったんだけど)

一目見るなり四歳児は拒否!でも味は抜群だったのよ。。
お店に人に「ペンネはどうしても芯が残って堅くなるので、オーバーボイル気味がいい。」とアドバイスしてもらい、かなり上手にボイル出来た。(表示時間よりも+5分)でも、出来上がったこの皿を見るなり、四歳の末っ子は食べるのを拒否。
膨れ上がったペンネがグロテスクに見えたのだろう。乾燥した時の可愛らしさは無くなって、 何だか大きな物体がゴロゴロ。パスタは大好きメニューなのに、いくらパスタだと説明しても全く食べなかった。まあ、残りの家族は美味しい、美味しいで完食してくれたので、大多数の支持を得た訳だから、良しとしなければならない。
子育ての料理の難しさがここにある。
経験者であれば、痛いほどわかると思うが、授乳期から離乳食/普通食へ離陸する時の難しさは筆舌に尽くしがたい。私の経験では「手を入れ過ぎても、手を抜き過ぎてもダメ。」である。
懸命に作った料理を一口も食べないで拒否される事など、子育てではザラで、ここで怯んではいけないのである。硬軟取り混ぜて、粘り強く「味」に対する経験値を広げるのが、地味だけど王道なのだ。

かれこれ10年以上母親業をしていると、もう炊事は「うんざりルーティン業務」である。早く自活してくれないかなぁと指折り数えてしまうし、休日の食事作りは一番グズグズとやりたくない家事となってしまった。
これでも若い頃は、料理が大好きで、張り切って作ってしまう、独身男性が見たら「ドン引きしてしまう女」だったが、その厭わなかった私ですら「もう作り無く無い。」のだから、食というのは非常に業が深い。

徹底して手抜きをしようと思うけど(そうでないと、毎日身が持たないので)どこかで越えてはいけないと思っている「一線」がある。
中一娘のお弁当は、やっぱり作ってやらなくちゃと思うし、コンビニや、ほか弁、カップヌードル、菓子パンだけで一週間の食事を回す事に、どうしても抵抗を感じてしまう。
文句を言いながらも、手づくり食にこだわった母に擦り込まれた「ジェンダー規範」なのかも知れない。
もちろん、ファストフードはあった方が良い。ありがたいと感じる人は多いだろうし、カップヌードルは日本が生み出した誇れる食材だと思う。気を抜きたい時のかけがえの無い友である。

この所、善くも悪くも「慣れ」てしまっていたから「この取り揃えなら及第点だろう。」という勘所が判ってしまい、食卓がマンネリだった。そして、久々に食らった「飲食拒否」の反応に少し目の覚める思いがした。拒否されるのが面倒なので、最初からYesと言いそうな所ばかりを狙っていたなと、反省しているのである。
姉兄に比べて「食わず嫌い」の傾向が強い末っ子のケアが足りなかったなと気が付いた。どうしても上二人がパクパク食べるから「そのうち食べるだろう。」と呑気に構えてしまっていたが、「私の事を見てくれ。」というサインなのだと思う。

先日の台風騒ぎでこんな事があった。
電車が全て止まってニッチもサッチも行かない。いつもこんな時に頼りにしている老母に、車で迎えに来てもらう間、老父は孫三人と留守番をしてくれた。料理なんて何も出来ない人なので、孫達にカップ麺を食べさせたらしい。普段、あまり食べていないから、子ども達は楽しんだろうと思ったら、長女曰く「でも、お母さんのお料理の方がいい。」とぽつり言った。
毎日、手の込んだ料理は何一つ作れない。言うなれば「茹で加減、塩加減」だけで勝負している「男の料理系」母の味だけど、この一言が出たかと、妙に感慨深かった。
毎日の食事は、栄養補給もさるとこながら「ここに必ずある」と思える自分の拠り所と「ああ美味しい。ホッとする。」と弛緩する感じが、身体の芯を作るのかも知れない。

DEEN&DELUCAでは、スタッフ皆さんの食に対する並々ならない熱意を知る事が出来て、ややもすると、いい加減になっていた毎日の「食事を統べる」家業を見直すいいきっかけになった。「味なんてどれも同じ」と言わないで、塩だけとか、だしだけでも、ちょっとこだわって丁寧に作ってみようかと、改めて思う次第である。

【DEEN&DELUCAおすすめクリームキノコペンネ】
1 季節のキノコ沢山をオリーブオイルで炒める(私はタマネギも加えました)
2 生クリーム 200 mlを加え、キノコペースト(DEEN&DELUCA製)を加えて味を整える。(必要なら塩こしょう)
3 ペンネは表示よりもオーバーボイルにする。

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